石灰化って何ですか?

 

「石灰化って何ですか?」

遡ること6年前。
確かそれが記憶にある、自分が発した乳がんに対して最初の言葉だったと思う。この日、会社の検診で訪れたクリニックで、乳がんの検査項目、エコー検査とマンモグラフィーを受けた。検査後、間もなく病室が慌ただしくなり、検診の担当医師が、再びエコー検査を行う旨を私に告げる。

つい、今受けたばかりなのにまた?

さっきまでとは先生の雰囲気が心なしか違うこともあり何でだろう?と疑問に思いつつ、ベッドに横になった。

何度も何度も同じ場所に機械をあてられ、胸元にひんやりとした感覚をかなり長く感じていると、医師がもういいですよ、と今度は着替えるように促される。私は急いで着替えると、用意されている椅子に腰掛けた。寝たり着替えたりとなかなか忙しい。

「ここにほら、石灰化があるからね」

眼の前のモニターに映っている自分の胸の画像には、確かに白い小さな星のようなものがポツポツと点在している。医師から説明を受けたものの、そもそも「石灰化」が何なのか理解が出来ないというのが冒頭の話。どうやら石灰化というものは癌細胞があるとみられる目印のようなものらしく、石灰化の形、数などから悪性のものなのかそうでないのかを判断するらしい。

決して、石灰化=乳がんではない。

医師の話をまとめると、どうも、私の石灰化は画像によると悪性度が高いものと思われるーーーといった内容だった。その場で紹介状を書くと言われ、いくつかの候補の中から通勤に便利な場所にある病院を紹介して貰った。


軽い気持ちで受けたマンモグラフィー。本来なら、年齢的にはエコー検査だけで良かった。なんとなくマンモも受けた方がいいな、と思って当日追加でオーダーした。受けなくてもいい検査を受けたのは、啓蒙活動について書かれた記事のフレーズ、【定期的に検査をしましょう】が記憶に残っていたからかも知れない。

数年前、乳腺症で検査にひっかかり、念の為マンモグラフィーを受けたときに異常はなかったけれど、同じ言葉をかけられたからだ。あるいは、その頃、とある有名人が乳がんに罹患したニュースが連日報じられていたからかも知れない。違和感や痛みもしこりもなく、自覚症状は全くなかったのだけど、受けないと、となぜかこの日は思った。

このなんとなく、が私の乳がんの始まりで当時は独身でパートナーなし。

婚活の真っ最中、山崎春のパン祭りのごとく春の「なしなし」祭りの出来事だった。


よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次